Vol.50
トルクメニスタン
 / カラクム砂漠

陽が沈んでいく
ウズベキスタンにある
トルクメニスタン大使館の人間は吝嗇だった
この表現は的確ではないかもしれない
でも僕に3日間の滞在しか
許可しなかったのは事実だった

その間にイランへ抜けなければならない
畑の中の国境を越え
トルクメニスタンに入った僕は
一目散にイランとの国境に近い
首都アシュガバートへと向かう

途中に立ちはだかるのはカラクム砂漠
砂漠の中の一本道には
駱駝が道路の中央で昼寝していたりして
なかなか旅路は進まない
陽は沈んでいくのに
町に近づいている気配は感じられず
砂の大海を彷徨するばかりだった
丘を越える度に
その先には町があるのではないかと期待を膨らますも
裏切られ
裏切られ
そしてまた裏切られる

太陽はとうの昔に姿を消し
もう期待することにも
疲れた頃に見えたのだ
アシュガバートの町の灯が
砂漠の中に昂然と光りを放ち
そこに文明がある何よりの証だった

少しだけ
リンドバークの気持ちが分かったような気がした
つづく
ここまでの行程:
東京→下関→釜山→ソウル→広州→南寧→ハノイ→フエ→ホイアン→ニャチャン→ホーチミン→プノンペン→シェムリアップ→バンコク→ビエンチャン→ノーンカイ→バンコク→北京→西安→敦煌→トルファン→イーニン→アルマティ→タシケント→サマルカンド→ブハラ→ヒヴァ→
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