Vol.74
トルコ
 / ドゥバヤズット

市場に連れていかれる羊たち
怖れていたことが始まった
覚悟していたとはいえ
いざ始まるとやはり辛い
ただでさえ
少ないイランのレストランが
陽の出ている間は
全て
本当に全てシャッターを閉じている

ラマダンの始まり

食事はおろか
チャイを飲むことも
煙草を吸うことさえも
ままならない
お菓子屋でクッキーを仕込み
宿の部屋で一人貪る

飢渇の始まり

それは僕の足を自然にトルコへと向かわせた
トルコなら
ラマダンも緩やかなはずだ
何の根拠もないままに
確信した僕はとりつかれたように国境を目指した
入国すると
地面は潰れたビールの缶で覆われているではないか
イランでは飲むことの出来ないアルコールが
この国には溢れている
今夜は祝杯だ
つづく
ここまでの行程:
東京→下関→釜山→ソウル→広州→南寧→ハノイ→フエ→ホイアン→ニャチャン→ホーチミン→プノンペン→シェムリアップ→バンコク→ビエンチャン→ノーンカイ→バンコク→北京→西安→敦煌→トルファン→イーニン→アルマティ→タシケント→サマルカンド→ブハラ→ヒヴァ→アシュガバード→マシュハド→テヘラン→イスファハン→ヤズド→ケルマン→バム→バンダル・アッバス→ホルムズ島→シラーズ→アフワズ→ケルマンシャー→ハマダン→テヘラン→ラシュト→マースーレ→タブリーズ→キャンドヴァン→マクー→ドゥバヤズット
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